う》二階に寝ていましたが、此の物音を聞き附け、寝衣《ねまき》の儘《まゝ》に階子《はしご》を降り、そっと来て様子を窺《うかゞ》うと、此の体裁《ていたらく》に驚き、慌《あわ》てゝ二階へ上《あが》ったり下へ下りたりしていると、源次郎が飯島に止《とゞ》めを刺したようだから、お國は側へ駈付《かけつ》けて、
國「源さま、貴方《あなた》にお怪我はございませんか」
 源次郎は肩息をつきフウ/\とばかりで返事も致しません。
國「あなた黙っていては分りませんよ、お怪我はありませんか」
 といわれて源次郎はフウ/\といいながら、
源「怪我はないよ、誰だ、お國さんか」
國「貴方《あなた》のお足から大層血が出ますよ」
源「これは槍で突かれました、手強《てづよ》い奴と思いの外《ほか》なアにわけはなかった、併《しか》し此処《こゝ》に何時迄《いつまで》こうしては居《い》られないから、両人《ふたり》で一緒に何処《いずく》へなりとも落延《おちの》びようから、早く支度をしな」
 と云われてお國は成程そうだと急ぎ奥へ駈戻り、手早く身支度をなし、用意の金子や結構な品々を持来《もちきた》り、
國「源さまこの印籠《いんろう》をお提
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