郎はぎょっとして、枕頭《まくらもと》の一刀を手早く手元に引付けながら、慄《ふる》える声を出して、
源「伯父様、何をなさいます」
と一生懸命|面色《めんしょく》土気色に変わり、眼色《めいろ》血走りました。飯島も面色土気色で目が血走りているから、あいこでせえでございます。源次郎は一刀の鍔前《つばまえ》に手を掛けてはいるものゝ、気憶《きおく》れがいたし刃向う事は出来ませんで竦《すく》んで仕舞いました。
源「伯父様、私《わたくし》をどうなさるお積りで」
飯島は深傷《ふかで》を負いたる事なれば、震《ふる》える足を踏み止めながら、
飯「何事とは不埓《ふらち》な奴だ、汝が疾《とく》より我が召使國と不義|姦通《いたずら》しているのみならず、明日《みょうにち》中川にて漁船《りょうせん》より我を突き落し、命を取った暁に、うま/\此の飯島の家を乗取《のっと》らんとの悪だくみ、恩を仇なる汝が不所存、云おう様《よう》なき人非人《にんぴにん》、此の場に於《おい》て槍玉に揚げてくれるから左様心得ろ」
と云い放たれて、源次郎は、剣術はからっ下手《ぺた》にて、放蕩《ほうとう》を働き、大塚の親類に預けられる程な未熟
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