/\に縁側に這い上がり、蹌《よろ》めく足を踏みしめ踏みしめ、段々と廊下を伝い、そっと客間の障子を開《ひら》き中へ入《い》り、十二畳一杯に釣ってある蚊帳の釣手《つりて》を切り払い、彼方《あなた》へはねのけ、グウ/\とばかり高鼾《たかいびき》で前後《あとさき》も知らず眠《ね》ている源次郎の頬《ほう》の辺《あた》りを、血に染《し》みた槍の穂先にてペタリ/\と叩きながら、
飯「起《おき》ろ/\」
と云われて源次郎頬が冷《ひ》やりとしたに不図《ふと》目を覚《さま》し、と見れば飯島が元結はじけて散《ちら》し髪で、眼は血走り、顔色は土気色《つちけいろ》になり、血の滴《した》たる手槍をピタリッと付け立っている有様を見るより、源次郎は早くも推《すい》し、アヽヽこりア流石《さすが》飯島は智慧者《ちえしゃ》だけある、己と妾のお國と不義している事を覚《さと》られたか、さなくば例の悪計を孝助|奴《め》が告げ口したに相違なし、何しろ余程の腹立《はらだち》だ、飯島は真影流の奥儀《おうぎ》を極《きわ》めた剣術の名人で、旗下《はたもと》八万騎の其の中に、肩を並ぶるものなき達人の聞えある人に槍を付けられた事だから、源次
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