入り、彼が刀の鬼となる覚悟、さすれば飯島の家《うち》は滅亡致すこと、彼等両人我を打って立退《たちの》く先は必定お國の親元なる越後の村上ならん、就《つ》いては汝孝助時を移さず跡追掛け、我が仇《あだ》なる両人の生首|提《ひっさ》げて立帰り、主《しゅう》の敵《かたき》を討ちたる廉《かど》を以《もっ》て我が飯島の家名再興の儀を頭《かしら》に届けくれ、其の時は相川様にもお心添えの程|偏《ひとえ》に願い度《た》いとのこと、又汝は相川へ養子に参る約束を結びたれば、娘お徳どのと互いに睦《むつ》ましく暮し、両人の間に出来た子供は男女《なんにょ》に拘《かゝ》わらず、孝助の血統《ちすじ》を以て飯島の相続人と定めくれ、後《あと》は斯々云々《こう/\しか/″\》と、実に細かに届く飯島の家来思いの切なる情《なさけ》に、孝助は相川の遺書《かきおき》を読む間《ま》、息をもつかず聞いていながら、膝の上へぽたり/\と大粒な熱い涙を零《こぼ》していましたが、突然《いきなり》剣幕《けんまく》を変えて表の方へ飛出そうとするを、
相「これ孝助殿、血相変えて何処《どこ》へ行《ゆ》きなさる」
 と云われて孝助は泣声を震わせ、
孝「只
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