も驚いて、藜《あかざ》の[#「藜《あかざ》の」は底本では「黎《あかざ》の」]杖を曳《ひ》き、ポク/\と出掛けて参り、
白「伴藏お前《めえ》先へ入んなよ」
伴「私《わっち》は怖いからいやだ」
白「じゃアおみねお前《めえ》先へ入れ」
みね「いやだよ、私だって怖いやねえ」
白「じゃアいゝ」
と云いながら中へ這入ったけれども、真暗で訳が分らない。
白「おみね、ちょっと小窓の障子を明けろ、萩原氏、どうかなすったか、お加減でも悪いかえ」
と云いながら、床の内を差覗《さしのぞ》き、白翁堂はわな/\と慄《ふる》えながら思わず後《あと》へ下《さが》りました。
十五
相川新五兵衞は眼鏡を掛け、飯島の遺書《かきおき》をば取る手おそしと読み下しまするに、孝助とは一旦|主従《しゅうじゅう》の契《ちぎ》りを結びしなれども敵《かたき》同士であったること、孝助の忠実に愛《め》で、孝心の深きに感じ、主殺《しゅうころし》の罪に落さずして彼が本懐を遂げさせんがため、態《わざ》と宮野邊源次郎と見違えさせ討たれしこと、孝助を急ぎ門外《もんそと》に出《いだ》し遣《や》り、自身に源次郎の寝室《ねま》に忍び
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