、お札を片手に握《つか》んだまゝ声をふるわし、唯《たゞ》南無阿弥陀仏/\と云っていると、幽霊は嬉しそうに両人顔を見合せ、
米「嬢様、今晩は萩原様にお目にかゝって、十分にお怨みを仰しゃいませ、さア入《いら》っしゃい」
と手を引き伴藏の方を見ると、伴藏はお札を掴《つか》んで倒れて居りますものだから、袖《そで》で顔を隠しながら、裏窓からズッと中《うち》へ這入りました。
十三
飯島平左衞門の家《うち》では、お國が、今夜こそ予《か》ねて源次郎と諜《しめ》し合《あわ》せた一大事を立聞《たちぎ》きした邪魔者の孝助が、殿様のお手打《てうち》になるのだから、仕すましたりと思うところへ、飯島が奥から出てまいり、
飯「國、國、誠にとんだ事をした、譬《たとえ》にも七《なゝ》たび捜して人を疑ぐれという通り、紛失《ふんじつ》した百両の金子が出たよ、金の入れ所は時々取違えなければならないものだから、己《おれ》が外《ほか》へ仕舞って置いて忘れていたのだ、皆《みんな》に心配を掛けて誠に気の毒だ、出たから悦んでくれろ」
國「おやまアお目出度《めでと》うございます」
と口には云えど、腹の内では些《
前へ
次へ
全308ページ中148ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング