なたさま》、二人の者を不便《ふびん》に思召《おぼしめ》しお札を剥して下さいまし」
伴「剥します、へい剥しますが、百両の金を持って来て下すったか」
米「百目の金子|慥《たしか》に持参致しましたが、海音如来の御守《おまもり》をお取捨《とりすて》になりましたろうか」
伴「へい、あれは脇へ隠しました」
米「左様なれば百目の金子お受取《うけと》り下さいませ」
とズッと差出《さしだ》すを、伴藏はよもや金ではあるまいと、手に取上《とりあ》げて見れば、ズンとした小判の目方、持った事もない百両の金を見るより伴藏は怖い事も忘れてしまい、慄《ふる》えながら庭へ下《お》り立ち、
「御一緒にお出《い》でなせえ」
と二間梯子《にけんばしご》を持出《もちだ》し、萩原の裏窓の蔀《したみ》へ立て懸け、慄える足を踏締《ふみし》めながらよう/\登り、手を差伸ばし、お札を剥そうとしても慄えるものだから思う様《よう》に剥れませんから、力を入れて無理に剥そうと思い、グッと手を引張《ひっぱ》る拍子に、梯子がガクリと揺れるに驚き、足を踏み外《はず》し、逆《さか》とんぼうを打って畑の中へ転《ころ》げ落ち、起上《おきあが》る力もなく
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