お守だから、神棚へ上げて置いてくんな」
伴「へい/\、おみね、旦那の身体を洗って上げな、よく丁寧《ていねい》にいゝか」
みね「旦那様|此方《こちら》の方をお向きなすっちゃアいけませんよ、もっと襟《えり》を下の方へ延ばして、もっとズウッと屈《こゞ》んでいらっしゃい」
 と襟を洗う振《ふり》をして伴藏の方を見せないようにしている暇《ひま》に、伴藏は彼《か》の胴巻をこき、ズル/\と出して見れば、黒塗《くろぬり》光沢消《つやけ》しのお厨子《ずし》で、扉を開《ひら》くと中はがたつくから黒い絹で包《くる》んであり、中には丈《たけ》四寸二分、金無垢《きんむく》の海音如来、そっと懐中へ抜取《ぬきと》り、代り物がなければいかぬと思い、予《か》ねて用心に持って来た同じような重さの瓦の不動様を中へ押込《おしこ》み、元の儘《まゝ》にして神棚へ上げ置き、
伴「おみねや長いのう、余《あんま》り長く洗っているとお逆上《のぼせ》なさるから、宜《い》い加減にしなよ」
新「もう上がろう」
 と身体を拭《ふ》き、浴衣《ゆかた》を着、あゝ宜《い》い心持《こゝろもち》になった。と着た浴衣は経帷子《きょうかたびら》、使った行水は
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