助、主人の前も憚《はゞ》からず大声《おおごえ》を発して怪《け》しからぬ奴、覚えがなければ何《ど》うして胴巻が貴様の文庫の中《うち》に有ったか、それを申せ、何うして胴巻があった」
孝「何うして有りましたか、さっぱり存じません」
飯「只《たゞ》存ぜぬ知らんと云って済むと思うかえ、不埓《ふらち》な奴だ、己《おれ》が是程目を懸けてやるにサ、其の恩義を打忘《うちわす》れ、金子を盗むとは不届《ふとゞき》ものめ、手前ばかりではよもあるまい、外《ほか》に同類があるだろう、さア申訳《もうしわけ》が立たんければ手打にしてしまうから左様心得ろ」
と云放《いいはな》つ。源助は驚いて、
源「どうかお手打の処《ところ》は御勘弁を願います、へい又何者にか騙《だま》されましたか知れませんから、篤《とく》と源助が取調べ御挨拶を申上げまする迄《まで》お手打の処はお日延《ひのべ》を願いとう存じます」
飯「黙れ源助、さような事を申すと手前まで疑念が懸るぞ、孝助を構い立てすると手前も手打にするから左様心得ろ」
源「これ孝助、お詫《わび》を願わないか」
孝「私《わたくし》は何もお詫をするような不埓をした事はない、殿様にお手打に
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