すから、内々の者を一《ひ》ト通り詮議をいたします、……アノお竹どん、おきみどん、皆《みんな》此方《こちら》へ来ておくれ」
竹「とんだ事でございました」
きみ「私《わたくし》はお居間などにはお掃除の外《ほか》参った事はございませんが、嘸《さぞ》御心配な事でございましょう、私なぞは昨晩の事はさっぱり存じませんでございます、誠に驚き入りました」
飯「手前達を疑ぐる訳ではないが、おれが留守で、國が預り中の事ゆえ心配をいたしているものだから」
女中は
「恐れ入ります、どうぞお検《あらた》め下さいまし」
と銘々《めい/\》葛籠《つゞら》を縁側へ出す。
飯「たけの文庫には何《ど》ういう物が入っているか見たいナ成程たまか[#「たまか」に傍点]な女だ、一昨年《おとゝし》遣《つか》わした手拭《てぬぐい》がチャンとしてあるな、女という者は小切《こぎれ》の端でもチャンと畳紙《たとう》へいれて置く位でなければいかん、おきみや、手前の文庫を一ツ見てやるから此処《こゝ》へ出せ」
君「私《わたくし》のは何《ど》うぞ御免あそばして、殿様が直《じか》に御覧あそばさないで下さい」
飯「そうはいかん、竹のを検《あらた》め
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