て手前のばかり見ずにいては怨《うら》みッこになる」
君「どうぞ御勘弁恐れ入ります」
飯「何も隠す事はない、成程、ハヽア大層|枕草紙《まくらぞうし》をためたな」
君「恐れ入ります、貯《た》めたのではございません、親類|内《うち》から到来をいたしたので」
飯「言訳《いいわけ》をするな、着物が殖《ふえ》ると云うから宜《い》いわ」
國「アノ男部屋の孝助と源助の文庫を検《あらた》めて見とうございます、お竹どん一寸《ちょっと》二人を呼んでおくれ」
竹「孝助どん、源助どん、殿様のお召《めし》でございますよ」
源「へい/\お竹どんなんだえ」
竹「お金が百両|紛失《ふんじつ》して、内々《うち/\》の者へお疑いがかゝり、今お調べの所だよ」
源「何処《どこ》から這入《はい》ったろう、何しろ大変な事だ、何しろ行って見よう」
と両人飯島の前へ出て来て、
源「承わり恟《びっく》り致しました、百両の金子《きんす》が御紛失《ごふんじつ》になりましたそうでございますが、孝助と私《わたくし》と御門を堅く守って居りましたに、何《ど》ういう事でございましょう、嘸《さぞ》御心配な事で」
飯「なに國が預り中で、大層心配をするか
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