なったから、お前も一つ部屋にいて、時々は腹の立つ事もあるだろうねえ」
源「いえ/\何《ど》う致しまして、あの孝助ぐらいな善《よ》く出来た人間はございません、其の上殿様思いで、殿様の事と云うと気違《きちがい》のように成って働きます、年はまだ廿一だそうですが、中々届いたものでございます、そして誠に親切な事は私《わたくし》も感心致しました、先達《さきだっ》て私の病気の時も孝助が夜《よッ》ぴて寝ないで看病をしてくれまして、朝も眠《ね》むがらずに早くから起きて殿様のお供を致し、あの位な情合《じょうあい》のある男はないと私は実に感心をしております」
國「それだからお前は孝助に誑《ばか》されているのだよ、孝助はお前の事を殿様にどんなに胡麻をするだろう」
源「ヘエー胡麻をすりますか」
國「お前は知らないのかえ、此の間孝助が殿様に云付《いいつ》けるのを聞いていたら、源助は何《ど》うも意地が悪くて奉公がしにくい、一つ部屋にいるものだから、源助が新参ものと侮《あなど》り、種々《いろ/\》に苛《いじ》め、私《わたくし》に何も教えて呉れませんで仕損《しくじ》るようにばかり致し、お茶がはいって旨《おい》しい物を戴
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