たもと》に入れ置き、臥床《ふしど》に帰って寝てしまい、翌日になっても知らぬ顔をしており、孝助には弁当を持たせて殿様のお迎いに出してやり、其の後《あと》へ源助《げんすけ》という若党が箒《ほうき》を提《さ》げてお庭の掃除に出てまいりました。
國「源助どん」
源「へい/\お早うございます、いつも御機嫌よろしゅう、此の節は日中《にっちゅう》は大層いきれて凌《しの》ぎ兼ねます、今年のような酷《きび》しい事はございません、何《ど》うも暑中より酷しいようでございます」
國「源助どん、お茶がはいったから一杯飲みな」
源「へい有難うございます、お屋敷様は高台《たかだい》でございますから、余程風通しもよくて、へい御門は何うも悉《こと/″\》く熱うございまする、へい、これは何うも有難うございまする、私《わたくし》は御酒をいたゞきませんからお茶は誠に結構で、時々お茶を戴きまするのは何よりの楽《たのし》みでございまする」
國「源助どん、お前は八ヶ年|前《ぜん》御当家へ来て中々正直者だが、孝助は三月の五日に当家へ御奉公に来たが、孝助は殿様の御意《ぎょい》に入《い》りを鼻にかけて、此の節は増長して我儘《わがまゝ》に
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