ょうとも、私共《わたくしども》夫婦は萩原様のお蔭で斯うやっているので、萩原様に万一《もしも》の事がありましては私共夫婦の暮し方が立ちませんから、どうか暮し方の付くようにお金を百両持って来て下さいまし、そうすれば屹度《きっと》剥《はが》しましょうとお云いよ、怖いだろうがお前は酒を飲めば気丈夫になるというから、私《わたし》が夜延《よなべ》をしてお酒を五合ばかり買っておくから、酔った紛《まぎ》れにそう云ったら何《ど》うだろう」
伴「馬鹿云え、幽霊に金があるものか」
みね「だからいゝやね、金をよこさなければお札を剥さないやね、それで金もよこさないでお札を剥さなけりゃア取殺《とりころ》すというような訳の分らない幽霊は無いよ、それにお前には恨《うらみ》のある訳でもなしさ、斯《こ》ういえば義理があるから心配はない、もしお金を持って来れば剥してやってもいゝじゃアないか」
伴「成程、あの位訳のわかる幽霊だから、そう云ったら得心して帰《けえ》るかも知れねえ、殊《こと》によると百両持って来るものだよ」
みね「持って来たらお札を剥しておやりな、お前考えて御覧、百両あればお前と私は一生困りゃアしないよ」
伴「成
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