様が死んで、萩原様の所へ幽霊になって逢いに来るのがこれに相違ねえ、それじゃア二晩《ふたばん》来たのは幽霊だッたかと思うと、ぞっと身の毛がよだつ程怖くなった」
みね「あゝ、いやだよ、おふざけでないよ」
伴「今夜はよもや来《き》やアしめえと思っている所へ又来たア、今夜はおれが幽霊だと知っているから怖くッて口もきけず、膏汗《あぶらあせ》を流して固まっていて、おさえつけられるように苦しかった、そうすると未《ま》だ剥してお呉《く》んなさいませんねえ、何《ど》うしても剥しておくんなさいませんと、あなたまでお怨《うら》み申しますと、恐《おっ》かねえ顔をしたから、明日《あした》は屹度剥しますと云って帰《けえ》したんだ、それだのに手前《てめえ》に兎《と》や角《こ》う嫉妬《やきもち》をやかれちゃア詰らねえよ、己《おれ》は幽霊に怨みを受ける覚えはねえが、札を剥せば萩原様が喰殺《くいころ》されるか取殺《とりころ》されるに違《ちげ》えねえから、己はこゝを越してしまおうと思うよ」
みね「嘘をおつきよ、何《なん》ぼ何《なん》でも人を馬鹿にする、そんな事があるものかね」
伴「疑《うたぐ》るなら明日《あした》の晩|手前
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