御家来かと聞くから、まア/\家来同様な訳でごぜえますというと、萩原様はあんまりなお方でございます、お嬢様が萩原様に恋焦《こいこが》れて、今夜いらっしゃいと慥《たしか》にお約束を遊ばしたのに、今はお嬢様をお嫌いなすって、入《い》れないようになさいますとは余《あんま》りなお方でございます、裏の小さい窓に御札が貼《は》ってあるので、どうしても這入《はい》ることが出来ませんから、お情《なさけ》に其の御札を剥《はが》してくださいましというから、明日《あした》屹度《きっと》剥して置きましょう、明晩《みょうばん》屹度お願い申しますと云ってずっと帰《けえ》った、それから昨日《きのう》は終日《いちにち》畠耘《はたけうな》いをしていたが、つい忘れていると、其の翌晩又来て、何故《なぜ》剥して下さいませんというから、違《ちげ》えねえ、ツイ忘れやした、屹度|明日《あした》の晩剥がして置きやしょうと云ってそれから今朝畠へ出た序《ついで》に萩原様の裏手へ廻って見ると、裏の小窓に小さいお経の書いてある札が貼ってあるが、何《なに》してもこんな小さい所から這入ることは人間には出来る物ではねえが、予《かね》て聞いていたお嬢
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