うのだろう、理不尽《りふじん》に阿魔女《あまっちょ》が女房のいる所へどか/\入《へい》って来て話なんぞをしやアがって、もし刃物三昧《はものざんまい》でもする了簡《りょうけん》なら私はたゞは置かないよ」
伴「そんな者じゃアないよ、話をしても手前《てめえ》怖がるな、毎晩来る女は萩原様に極《ごく》惚れて通《かよ》って来るお嬢様とお附《つき》の女中だ」
みね「萩原様は萩原様の働きがあってなさる事だが、お前《まえ》はこんな貧乏世帯《びんぼうじょたい》を張っていながら、そんな浮気をして済むかえ、それじゃアお前が其のお附の女中とくッついたんだろう」
伴「そんな訳じゃないよ、実は一昨日《おとゝい》の晩おれがうと/\していると、清水の方から牡丹の花の灯籠を提《さ》げた年増《としま》が先へ立ち、お嬢様の手を引いてずっと己《おれ》の宅《うち》へ入《へえ》って来た所が、なか/\人柄のいゝお人だから、己のような者の宅へこんな人が来る筈《はず》はないがと思っていると、其の女が己の前《めえ》へ手をついて、伴藏さんとはお前《まえ》さまでございますかというから、私《わっち》が伴藏でごぜえやすと云ったら、あなたは萩原様の
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