に、馬鹿々々しいからサ」
伴「蚊帳の中へへいんねえな」
 おみねは腹立《はらたち》まぎれにズッと蚊帳をまくって中へ入れば。
伴「そんな這入《へい》りようがあるものか、なんてえ這入《へい》りようだ、突立《つッた》って這入《へえ》ッちゃア蚊が這入《へえ》って仕ようがねえ」
みね「伴藏さん、毎晩お前の所へ来る女はあれはなんだえ」
伴「何《なん》でもいゝよ」
みね「何《なん》だかお云いなねえ」
伴「何でもいゝよ」
みね「お前はよかろうが私《わたし》ゃ詰らないよ、本当にお前の為に寝ないで齷齪《あくせく》と稼いでいる女房の前も構わず、女なんぞを引きずり込まれては、私のような者でも余《あんま》りだ、あれは斯《こ》ういう訳だと明かして云ってお呉れてもいゝじゃないか」
伴「そんな訳じゃねえよ、己《おれ》も云おう/\と思っているんだが、云うとお前《めえ》が怖がるから云わねえんだ」
みね「なんだえ怖がると、大方先の阿魔女《あまっちょ》が何《なん》かお前《まえ》に怖《こわ》もてゞ云やアがったんだろう、お前が嚊《かゝあ》があるから女房に持つ事が出来ないと云ったら、そんなら打捨《うっちゃ》って置かないとか何とかい
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