華族のお医者
三遊亭円朝

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)当今《たゞいま》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)三十|余年前《よねんぜん》

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)のぼる/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−

 エヽ当今《たゞいま》の華族様《くわぞくさま》とは違《ちが》ひまして、今を去《さ》ること三十|余年前《よねんぜん》、御一新頃《ごいつしんごろ》の華族様故《くわぞくさまゆゑ》、まだ品格《ひん》があつて、兎角《とかく》下情《かじやう》の事《こと》にはお暗《くら》うござりますから、何事《なにごと》も御近習任《ごきんじゆまか》せ。殿「コレ登々《のぼる/\》。登「ハツ/\お召《めし》でござりますか。殿「アヽ予《よ》は華族《くわぞく》の家《いへ》に生《うま》れたが、如何《いか》に太平《たいへい》の御代《みよ》とは申《まう》せども、手を袖《そで》にして遊んで居《を》つては済《す》まぬ、え我《わが》先祖《せんぞ》は千軍萬馬《せんぐんばんば》の中《なか》を往来《わうらい》いたし、君《きみ》
次へ
全10ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング