ゐ》るのを殿《との》が聴付《きゝつけ》て殿「コリヤ/\登《のぼる》は出たか。登「ヘイ、御機嫌《ごきげん》宜《よろ》しう。殿「何《ど》うぢや、工合《ぐあい》は。登「何《ど》うも劇剤《げきざい》を多量《たりやう》にお用《もち》ひに相成《あひなり》ましたものと見えて、今日《けふ》は余程《よほど》加減《かげん》が悪うござります。殿「木内《きのうち》は何《ど》ういたした。登「彼《あれ》も罷出《まかりいで》ましたが、これも強く逆上《ぎやくじやう》いたし眼《め》がかすみ、頭《あたま》に熱を持《も》ち、カツカと致《いた》して堪《たま》らぬ抔《など》と申《まう》して居《をり》まする、夫《それ》に可愛想《かあいそう》なのは大原伊丹《おほはらいたみ》で、彼《あれ》は到頭《たうとう》生体《しやうたい》なしで未《ま》だ夢中《むちゆう》で居《を》ります。殿「ムヽー、彼《あれ》だけの手当《てあて》に及《およ》んでも息が出んと申《まう》せば最早《もはや》全《まつた》く命数《めいすう》が尽《つ》きたのかも知れぬて、何《ど》うしても気《き》が附《つ》かぬか。登「ヘイ、色々《いろ/\》に介抱《かいはう》いたしましたが気《き
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