、アヽ是《これ》は余程《よほど》熱《ねつ》がある。井上「へえー熱《ねつ》がござりますか。殿「ウム、四十九|度《ど》許《ばかり》ある。井上「其様《そんな》にある訳《わけ》はござりませぬ、夫《それ》ぢやア死んで了《しま》ひますから。殿「アヽ成程《なるほど》、三十七|度《ど》一|分《ぶ》あるの、時々《とき/″\》悪寒《をかん》する事があるだらう。井上「左様《さやう》でござります。殿「ハー是《これ》は瘧《ぎやく》だナ。井上「いゝえ瘧《ぎやく》とは心得《こゝろえ》ませぬ。殿「これ/\何《なん》でも医者《いしや》の云《い》ふ通《とほり》になれ、素人《しろうと》の癖《くせ》に何《なに》が解《わか》るものか、是《これ》は舎利塩《しやりえん》を四匁《しもんめ》粉薬《こぐすり》にして遣《つか》はすから、硝盃《コツプ》に水を注《つ》ぎ能《よ》く溶《と》いて然《さ》うして飲《の》め、夫《それ》から規那塩《きなえん》を一|分《ぶん》入《い》れる処《ところ》ぢやが、三|分《ぶ》も加《くは》へよう。井上「其様《そんな》に貴方《あなた》劇剤《げきざい》を分度外《ぶんどぐわい》にお入《いれ》になりましては豪《えら》い事
前へ 次へ
全10ページ中6ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング