托鉢《たくはつ》に出《で》る坊《ばう》さんで源八《げんぱち》と申《まう》す者、近頃《ちかごろ》何《ど》う致《いた》したのか煩《わづら》つて寝て居《ゐ》るから見舞《みまつ》てやらうと金兵衛《きんべゑ》が出《で》て参《まゐ》り、金「御免《ごめん》なさいよ。源「アヽ御入来《おいで》なさい。見《み》ると煎餅《せんべい》のやうな薄《うす》つぺらの蒲団《ふとん》で爪《つめ》で引掻《ひつか》くとポロ/\垢《あか》が落《おち》る冷たさうな蒲団《ふとん》の上《うへ》に転《ころ》がつて居《ゐ》るが、独身者《ひとりもの》だから薬《くすり》一|服《ぷく》煎《せん》じて飲《の》む事も出来《でき》ない始末《しまつ》、金「私《わつし》はね今日《けふ》はアノ通《とほ》り朝から降《ふ》りましたので一|日《にち》楽《らく》を仕《し》ようと思つて休んだが、何《ど》うも困つたもんですね、何《なん》ですい病気は。源「ハツ/\いえもう貴方《あなた》、年が年ですから死病《しびやう》なんでせう。金「お前《まへ》さん其様《そん》な気の弱い事を云《い》つちやアいけませぬ、石《いし》へ獅噛附《しがみつい》ても癒《なほ》らうと云《い》ふ了簡
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