つたい》に火が掛《かゝ》るんだから。金「頭と足の方《ほう》はホンガリ焼《や》いて腹《はら》は生焼《なまやき》にはなりますまいか。坊「然《さ》うはいきませぬよ、元膩《もとあぶら》だから一体《いつたい》に火が掛《かゝ》るでな。金「ぢやア明朝《みやうあさ》早く骨揚《こつあげ》に来《き》ますから、死骸《しがい》を間違《まちが》ひないやうに願ひます。坊「其様《そん》な事はありやせぬ。金「何分《なにぶん》お頼《たの》み申《まう》します。と宅《たく》へ帰《かへ》つたがまだ暗い中《うち》にやつて来《き》ました。金「お早う。坊「えらう早く来《き》たな、まだ薄暗《うすぐら》いのに。金「エヘヽヽ昨晩《さくばん》は大《おほき》にお喧《やか》ましうございます。坊「ウム値切《ねぎつ》た人か、サ此方《こつち》へ這入《はい》んなさい。金「へい、有難《ありがた》う。坊「穏坊《をんばう》/\、見て上《あ》げろ。穏「はい此方《こつち》へお出《いで》なさい、骨《こつ》を入《い》れる物を持《もつ》てお出《いで》なすつたか。金「イエ、何《なに》か買《か》はうと思《おも》つたが大分《だいぶ》高《たけ》えやうですから、彼所《あすこ》に二|升《しよう》壜《どつこり》の口の欠《かけ》たのがあつたから彼《あれ》を持《もつ》て来《き》ました。穏「彼《あれ》は私《わし》が水を入《い》れて置いたのだ、無闇《むやみ》に口《くち》なんぞを打欠《ぶつか》いちやアいけませぬよ。金「エヘ、御免《ごめん》なさい、兎《と》に角《かく》頂戴《ちやうだい》しませう、一|体《たい》に黒《くろ》くなりやしたな、何《ど》うも、南無阿弥陀仏《なむあみだぶつ》々々《/\》々々《/\》々々《/\》、成程《なるほど》此木《このき》の箸《はし》と竹《たけ》の箸《はし》で斯《か》うするんですな、お前《まい》さん彼方《あつち》へ行《い》つてゝお呉《く》んなさい。穏「私《わし》が見て居《ゐ》ねえでは歯骨《はつこつ》や何《なに》か分《わか》るまい。金「ナニ知つてるよ、ちやんと心得《こゝろえ》てるんだ、彼方《あつち》へ行《ゆ》け、行《ゆ》かねえと撲《なぐ》り附《つ》けるぞ、行《い》かねえか畜生《ちくしやう》。箸《はし》で段々《だん/″\》灰《はい》を掻《か》いて行《ゆ》くと腹《はら》の辺《あたり》に塊《かたまり》があつたから木と竹の箸《はし》でヅンと突割《つきわ》ると
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