#「口+多」、第3水準1−15−2]羅夜耶《とらやや》、南無阿※[#「口+利」、第3水準1−15−4]耶《なむおりや》、婆慮羯諦爍鉢羅耶《ばりよぎやていしふふらや》、菩提薩※[#「足へん+多」、359−2]婆耶《ふちさとばや》。と神咒《しんじゆ》を唱《とな》へ往生集《わうじやうしふ》を朗読《らうどく》して後《のち》に引導《いんどう》を渡《わた》し、焼香《せうかう》も済《す》んで了《しま》ふと。金「何《ど》うも皆《みな》さん遠方《ゑんぽう》の処《ところ》誠に有難《ありがた》う存《ぞん》じました、本来《ほんらい》ならば強飯《おこは》かお酢《すし》でも上《あ》げなければならないんですが、御承知《ごしようち》の通《とほ》りの貧乏葬式《びんばふどむらひ》でげすから、恐入《おそれいり》ましたが何《なに》も差上《さしあ》げませぬ、尤《もつと》も外へ出ますと夜鷹蕎麦《よたかそば》でも何《なん》でもありますから貴所方《あなたがた》のお銭《あし》で御勝手《ごかつて》に召上《めしあが》りまして。甲「何《なん》だ人面白《ひとおもしろ》くもねえ、先《さき》へ出よう/\。「金兵衛《きんべゑ》どんお前《まい》是《これ》から焼場《やきば》へ持《も》つて行《ゆ》くのに独《ひとり》ぢやア困るだらうから己《おれ》が片棒《かたぼう》担《かつ》いでやらうか。金「ナニ宜《よろ》しうがす、私《わたし》が独《ひとり》で脊負《しよつ》て行《ゆ》きます、成《なる》たけ入費《もの》の係《かゝ》らぬ方《はう》が宜《よろ》しうがすから。「宜《い》いかえ。金「エヽ宜《よ》うがすとも。と早桶《はやをけ》を脊負《しよ》ひ焼場鑑札《やきばかんさつ》を貰《もら》つてドン/\焼場《やきば》へ来《き》まして。金「お頼《たの》う申《まう》します。坊「ドーレ。金「何卒《どうぞ》これを。坊「ア、成程《なるほど》、難渋寺《なんじふじ》かへ、宜《よろ》しい、此方《こちら》へ。金「それで此《この》並焼《なみやき》はお幾《いく》らでげす。坊「並焼《なみやき》は一|歩《ぶ》と二百だね。金「ヘヽー何《ど》うでげせう、三|朱《しゆ》位《ぐらゐ》には負《まか》りますまいか。坊「焼場《やきば》へ来《き》て値切《ねぎ》るものもないもんだ、極《きま》つて居《ゐ》るよ。金「ナニ本当《ほんたう》に焼《や》けないでも宜《よろ》しいんで。坊「然《さ》うはいかない、一体《い
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