ゐど》は内井戸《うちゐど》であつたさうだが、其家《そのうち》はたいした身代《しんだい》だから、何《なん》とかいふ名《な》のある結構《けつこう》な石でこしらへた立派《りつぱ》な井戸《ゐど》ださうだ。ところが其《そ》の井戸《ゐど》の中《なか》へ嫁《よめ》が身を投げて死んだり、二代目と三代目の主人が気違《きちが》ひになつたりしたのが、其家《そのいへ》の潰《つぶ》れる初まりといふので、そりやア何《なん》とも云《い》へない凄《すご》い怪談《くわいだん》がある」「へー、それはどう云《い》ふ筋《すぢ》です」「委《くは》しい事は知らないが、何《なん》でも其《そ》の初代《しよだい》の多助《たすけ》といふ人は上州《じやうしう》の方《はう》から出て来《き》た人で、同じ国者《くにもの》が多助《たすけ》を便《たよ》つて来《き》て、私《わし》もお前《まへ》のやうな大きな身代《しんだい》になりたい、国《くに》の家《いへ》が潰《つぶ》れたから江戸《えど》で稼《かせ》いで、国《くに》の家《いへ》を再興《さいこう》したいと思つて出て来《き》たのだから、どうか資本《もとで》を貸《か》してくれと云《い》ふと、多助《たすけ》が
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