》あるかといふと、大根河岸《だいこんがし》の親類《しんるゐ》の三周《さんしう》へ火事の手伝《てつだ》ひにやつたところが、一人で畳《たゝみ》を一度に九枚|持出《もちだ》したから、九|人力《にんりき》あると私《わたし》が考へた。其《そ》の伝吉《でんきち》を呼《よ》んで、「時に私《わたし》は今度《こんど》下野《しもつけ》から上州《じやうしう》の方《はう》へ行《ゆ》くに就《つい》て、お前《まへ》を供《とも》に連《つ》れて行《ゆ》かうと思ふが、面白《おもしろ》くも何《なん》ともない、ひどい山の中へ行《ゆ》くんだが、行《ゆ》くかえ」「それは有難《ありがた》い、――どんな山の中でも行《ゆ》きます、私《わたし》の生国《しやうこく》は越中《ゑつちう》の富山《とやま》で、反魂丹売《はんごんたんうり》ですから、荷物《にもつ》を脊負《せお》つて、まだ薬《くすり》の広《ひろ》まらない山の中ばかり売《う》つて歩くのです、さうして又《また》翌年《よくねん》其《そ》の山の中を売《う》つて歩くので、山の中は歩きつけて居《を》ります、又《また》私《わたし》は力がありますから、途中《とちう》で追剥《おひはぎ》が五人や六人出
前へ 次へ
全26ページ中24ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング