代目|塩原《しほばら》が、大層《たいそう》良《よ》い身代《しんだい》になつて跡目相続《あとめさうぞく》をした時、お父《とつ》さん、お前《まへ》さんはもう是《これ》だけの身代《しんだい》になつたら、少しはさつぱりした着物をお召《め》しなさるが宜《よ》い、何時《いつ》までも木綿《もめん》の筒《つゝ》ツぽでは可笑《をか》しいから、これを着て下さいと云《い》つて、其《そ》の黒羽二重《くろはぶたへ》の着物を出したところが、こんな物を着るやうで、商人《あきんど》の身代《しんだい》が上《あが》るものかと云《い》つて、一度も着たことは無《な》かつたさうです。其《そ》の着物が残《のこ》つて居《を》ります。それから御先代《ごせんだい》の木像《もくざう》と過去帳《くわこちやう》が残《のこ》つて居《を》ります」「それでは、ちよいとそれを持《も》つて来《き》て貰《もら》ひたい」といふと、女将《おつかあ》は直《すぐ》に車に乗つて行《い》つて取つて来《き》ました。其中《そのうち》に誂《あつら》へた御飯《ごはん》が出来《でき》ましたから、御飯《ごはん》を食《た》べて、其《そ》の過去帳《くわこちやう》を皆《みな》写《う
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