や、何うも飛んだ事になりましたよ、私はね、くれ/″\もそう云っていたのだよ、決して出ちゃアならない、今に私が宜《よ》いようにするから、お前心配おしでないよといって置くのに、親の言葉に背いて家出をしたものだから、忽《たちま》ち親の罰《ばち》があたって、あゝいう訳になったんだから、私はもう皆《みんな》これまでの約束ごとと諦めていたが、お前の顔を見たら何うにも我慢が出来なくなって声を出しましたが、もと/\お前の為に家出をしてこんな死様《しによう》をしたのだからお前|何卒《どうぞ》お線香の一本も上げて回向をしてやっておくれ」
粂「ヘエ、何とも申そう様はございませぬ、誠に何うも重々|私《わたくし》が悪いのでございます」
内儀「いゝえ、お前ばかりが悪い訳じゃアないよ」
鳶「おゝ番頭|様《さん》ちょいと此処《こゝ》へ来ねえ」
番「あい、何じゃ」
鳶「おゝ粂どんはちゃんと此処にいるよ、え、おう、人を殺して金を取ったような訳なら、プイと何処《どこ》かへ逃げちまわア、己が寺へ知らせに行《ゆ》くまであっけらけん[#「あっけらけん」に傍点]と居られるか、さ、何うだ、これでもまだ手前《てめえ》は己を疑
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