、私の処へは置きませぬ、只《た》った今出てお出《いで》なせえというから、私《わっし》が仲裁をして、まアお母《っか》ア待ちねえ、そうお前《めえ》のように頑固《かたくな》なことばかりいっちゃアしょうがねえ、折角頼りに思っておいでなすったお前まで、そんな邪険な事を云ったら娘心の一筋に思い詰め、此家《こゝ》から又駈出して途中|散途《さんと》で、何様《どん》な軽はずみな心を出して、間違《まちげ》えがねえとも限らねえ、まア/\己のいう通りにして居ねえといって、それからお嬢様を此方《こっち》へ呼んでお母《ふくろ》はあんな事を云いますが、お前《まえ》さんは何処《どこ》までも粂之助|様《さん》と添いたいという了簡があるなれば、私《わっし》がまア何うにでもしてお世話を致しましょう、貴方はお宅《うち》を勘当されても、粂之助様と添遂げるという程の御決心がありますかてえと、屹度《きっと》遂げます、一旦粂之助も私と夫婦約束をしたのですもの、確《たしか》に私を見捨てないという事もいいましたし、又そんな不実な人ではありませぬ、じゃア宜《よ》うがすが、何処か行《ゆ》く所がありますかと云うと、何処も目的《あて》がねえ、こ
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