実談でござります。
えゝ、浅草に三筋町《みすじまち》と申す所がある。是も縁で、三筋町があるから、其の側に三味線堀というのがあるなどは誠におかしい、それゆえ生駒《いこま》というお邸《やしき》があるんだなんぞは、後《あと》から拵えたものらしい。下谷《したや》があるから上野があって、側に仲町《なかちょう》がありまして上中下《じょうちゅうげ》と揃《そろ》って居《お》る。縁というものは何う考えても不思議なもので、腕尽《うでずく》にも金尽《かねずく》にも及ばぬものだというが、これは左様かも知れませぬ、まア呉服屋などで、不図《ふと》地機《じばた》の好《よ》い、お値段も恰好《かっこう》な反物《たんもの》を見附けたから買おうと思って懐中《ふところ》へ手を入れて見ると、金子《かね》が少々足りないから、一旦立ち帰り、金子《きんす》の用意をして再び来ると、誠にお気の毒様でござりますが、貴方《あなた》がお帰りになると、直に入らしったお方が見せて呉れと仰《おっ》しゃいまして、到頭《とうとう》其の方の方へ縁附《えんづき》になりました。いやそれは残念な事をした、もうあゝいうのはありませぬか。へい、あれは二百反の中《
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