やアがるだ、此間《こねえだ》も他処《よそ》から法事の饅頭が来た時、お店へも出ると彼奴は酒呑だから甘《あめ》え物は嫌えだろう、それだのにさ、清助|汝《われ》がに饅頭をくれてやる、田舎者だから此様《こん》な結構な物は食ったことは有るめえ、汝がのような奴に惜しいもんだけんど、汝がに食わすと、斯《こ》う吐《ぬか》しやがるだ、己も余《あんま》り腹が立ったから、何うかして意趣返《いしゅげえ》しをしてやろうと思って、此間《こねえだ》鹿角菜《ひじき》と油揚《あぶらげ》のお菜《さい》の時に、お椀の中へそっと草鞋虫《わらじむし》を入れて食わせてやっただ、そんな事は何うでも好《い》いが、お前《めえ》さんがお暇《いとま》になるなら何《な》んにも楽《たのし》みが無《ね》えから己《おら》も下《さが》ろうか知ら、下らば直《すぐ》に故郷《くに》へ帰《けえ》るだよ、己《おれ》は信州|飯山《いいやま》の在《ぜえ》でごぜえますから、めったに来る事もあるめえが、善光寺へ参詣にでも来ることが有ったら是非寄って下せえまし、田舎の事《こッ》たから、何も外に御馳走の仕ようが無《ね》えから、鹿でも打《ぶ》って御馳走しべいから、何だか馴
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