御茶碗《おちやわん》でと一々聞いて先方《むかう》に云《い》はせなければなりませんよ、それからぽツぽと烟《けむ》の出るやうなお口取《くちとり》が出るよ、粟饅頭《あはまんぢう》か蕎麦饅頭《そばまんぢう》が出るだらう。弥「へえ、何人前《なんにんまへ》出るえ。長「何人前《なんにんまへ》なんて葬式《とむらひ》ぢやア有《あ》るまいし、菓子器《くわしき》へ乗せて一つよ。弥「たつた一つかア。長「がつ/\喰《く》ふと腹《はら》を見られるは。弥「ぢやア腹掛《はらがけ》をかけて往《い》きませう。長「フヽヽ其《そ》の桟留縞《さんとめじま》の布子《ぬのこ》に、それで宜《よ》い、袴《はかま》は白桟《しろざん》の御本手縞《ごほんてじま》か、変《へん》な姿だ、ハヽヽ、のう足袋《たび》だけ新しいのを持たしてやれ。弥「ぢやア往《い》つて参《まゐ》ります。と火《ひ》の附《つ》きさうな頭髪《あたま》で、年寄《としより》だか若いか分《わか》りません。長「随分《ずゐぶん》茶《ちや》の有《あ》る男《をとこ》だな……草履下駄《ざうりげた》を片《かた》ちんばに履《は》いて往《ゆ》く奴《やつ》があるか、狗《いぬ》がくはへて往《い》つた、
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