馬鹿《ばか》な者を愛して楽しんでゐるといふ極《ごく》無慾《むよく》な人でございました。長「何《なに》を、往《い》かねえよ、何《なん》だと。女房「でもお手紙が参《まゐ》りましたよ。長「何処《どこ》から。女房「萬屋《よろづや》五|左衛門《ざゑもん》さんから。長「ムウン又《また》迎《むか》ひか、どうも度々《たび/″\》招待状《せうたいじやう》をつけられて困るなア、先方《むかう》は此頃《このごろ》茶《ちや》を始《はじ》めたてえが、金持《かねもち》ゆゑ極《ごく》我儘《わがまゝ》な茶で、種々《いろ/\》道具《だうぐ》を飾《かざ》り散《ちら》かして有《あ》るのを、皆《みん》なが胡麻《ごま》アするてえ事を聞いたが、己《おら》ア然《さ》ういふ事をするのが厭《いや》だから断《ことわ》つてくんなせえ。女房「だつて貴方《あなた》、度々《たび/″\》の事ですから一|度《ど》往《い》らつしやいな、余《あんま》り勿体《もつたい》を附《つ》けるやうに思はれるといけませんよ。長「茶も何《なに》もやつた事のねえ奴《やつ》が、変《へん》に捻《ひね》つたことを云《い》つたり、不茶人《ふちやじん》が偽物《にせもの》を飾《かざ》
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