おせい
葛西善藏
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)お腹《なか》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「廴+囘」、第4水準2−12−11]
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)しみ/″\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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「近所では、お腹《なか》の始末でもしに行つたんだ位に思つてゐるんでせう。さつきも柏屋のお内儀さんに會つたら、おせいちやんは東京へ行つてたいへん綺麗になつて歸つたと、ヘンなやうな顏して視てましたよ」と、ある晩もお酌をしながら、おせいは私に云つた。
父の四十九日の供養に東京に出て行つて、私もそのまゝ弟の家の二階で病氣の床に就いてしまつた。肺尖の熱が續き、それから喘息季節にかゝつて、三ヶ月餘り寢通してしまつた。その間ずつと、いつしよに出て行つたおせいの看病を受けてゐた。四十九日が百ヶ日を過ぎても、私は寺へ歸つて來られなかつた。「Kがお供をつれて歩いてる……」東京の友人たちの間にも斯う噂
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