深憂大患
竹越三叉
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(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「冫+咸」、146−下−4]
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今や我國家、朝鮮の爲めに師を出し、清國の勢力を朝鮮より一掃し、我公使をして其改革顧問たらしめ、我政治家をして、其の參贊たらしむ。朝鮮あつて以來、我勢力の伸張する、未だ曾て此の如きはあらず。此に於てか國民、揚々として自得し、朝鮮を以て純乎たる我藩屏と信じ、其政治家は一に我に負かざる者と信ず、また前途の憂患を慮らず。然れども知らず耶[#「然れども知らず耶」に白丸傍点]、吾人の深憂大患は實に朝鮮より來らんとするを[#「吾人の深憂大患は實に朝鮮より來らんとするを」に白丸傍点]。吾人が朝鮮を得たるは[#「吾人が朝鮮を得たるは」に丸傍点]、實に蝮蛇の卵を懷中に抱きたるもの也[#「實に蝮蛇の卵を懷中に抱きたるもの也」に丸傍点]。
師を朝鮮に出して清國と爭ふは、獨り明治の國民が企畫したる事のみにあらず、天智天皇が百濟を助け、唐軍と戰つて、白村江に敗北したる以
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