せん」に丸傍点]。牙山の驛[#「牙山の驛」に丸傍点]、白衣の韓人草野を行くあり[#「白衣の韓人草野を行くあり」に丸傍点]。之を追ふて誰何すれば大聲を發して走り[#「之を追ふて誰何すれば大聲を發して走り」に丸傍点]、言下に支那の伏兵起つて我を要撃す[#「言下に支那の伏兵起つて我を要撃す」に丸傍点]。吾人は朝鮮の爲め[#「吾人は朝鮮の爲め」に丸傍点]、外交の上に於て此の如き塲合に引き入れられ突として第二の支那と草野に相逢ふの日あるは瞭々乎として見るべき也[#「外交の上に於て此の如き塲合に引き入れられ突として第二の支那と草野に相逢ふの日あるは瞭々乎として見るべき也」に丸傍点]。故に曰く朝鮮を得たるは寶玉を得たるにあらずして[#「故に曰く朝鮮を得たるは寶玉を得たるにあらずして」に二重丸傍点]、蝮蛇の卵を懷中に抱くもの也[#「蝮蛇の卵を懷中に抱くもの也」に二重丸傍点]。深憂大患[#「深憂大患」に二重丸傍点]、藏して其中にあり[#「藏して其中にあり」に二重丸傍点]。漫に虚榮の念に驅られて歡乎すべからざる也[#「漫に虚榮の念に驅られて歡乎すべからざる也」に二重丸傍点]。
且つそれ[#「且つそれ」に丸傍点]、屬國にあらず[#「屬國にあらず」に丸傍点]、領地にあらず[#「領地にあらず」に丸傍点]、名實共に獨立にして[#「名實共に獨立にして」に丸傍点]、助を我に仰ぐの國は决して[#「助を我に仰ぐの國は决して」に丸傍点]、長く我國民の堪ゆべき所にあらざる也[#「長く我國民の堪ゆべき所にあらざる也」に丸傍点]。獨り我國の堪へざるのみならず[#「獨り我國の堪へざるのみならず」に丸傍点]、列國の衰弱實に此に基づく[#「列國の衰弱實に此に基づく」に丸傍点]。何となれば彼れ我領有たらば、吾人の思ふが如く、善政良法を布くべし。美風善俗を養ふべし。工藝學問を植ゆべし。期年にして其の生産する所、我國家に酬ゆる所、また相當のものあるべし。其民によつて其國を治む。勞多しと雖も、効もまた少からず。然れども領有せざる他の保護國は此の如き報酬ある能はず[#「然れども領有せざる他の保護國は此の如き報酬ある能はず」に白丸傍点]。其國は我に對して國家的思想を有せず[#「其國は我に對して國家的思想を有せず」に白丸傍点]。國民的思想を有せず[#「國民的思想を有せず」に白丸傍点]。我に對して租税を納れず[#「我に對して租税を納れず」に白丸傍点]。我法律政治を受けず[#「我法律政治を受けず」に白丸傍点]。而して吾人が之に費す所は毫も少きを加ゆるを得ず[#「而して吾人が之に費す所は毫も少きを加ゆるを得ず」に白丸傍点]。之を忽にせば我に叛かんことを恐るゝが爲に之に費す所多く[#「之を忽にせば我に叛かんことを恐るゝが爲に之に費す所多く」に白丸傍点]、之に費す所多ければ[#「之に費す所多ければ」に白丸傍点]、國民其煩に堪へざらんとす[#「國民其煩に堪へざらんとす」に白丸傍点]。我先民が三韓を失して李唐の手に奪はれたるものは之が爲め也[#「我先民が三韓を失して李唐の手に奪はれたるものは之が爲め也」に白丸傍点]。我先民[#「我先民」に白丸傍点]、雄畧の資なしと雖も[#「雄畧の資なしと雖も」に白丸傍点]、若し三韓をして我官家たるに止らしめず[#「若し三韓をして我官家たるに止らしめず」に白丸傍点]、斷乎として我屬國たらしめば統御の道便利あるのみならず[#「斷乎として我屬國たらしめば統御の道便利あるのみならず」に白丸傍点]、其租税によつて其民を治む[#「其租税によつて其民を治む」に白丸傍点]、之を保つの道[#「之を保つの道」に白丸傍点]、决して難からざるべき也[#「决して難からざるべき也」に白丸傍点]。謀此に出でず[#「謀此に出でず」に白丸傍点]、之を半屬の國たらしむ[#「之を半屬の國たらしむ」に白丸傍点]、年々兵禍あつて[#「年々兵禍あつて」に白丸傍点]、一毫の租税なく[#「一毫の租税なく」に白丸傍点]、我に出師の責あるも[#「我に出師の責あるも」に白丸傍点]、統一の權なし[#「統一の權なし」に白丸傍点]、此に於てか遂に彼をして李后に屬せしむ[#「此に於てか遂に彼をして李后に屬せしむ」に白丸傍点]。吾人は我歴史に於て半屬の不利益なる經驗せり。歐洲列國の鑑戒また此の如し。遠くは英國が歐洲大陸に半屬國を有して年々其費に堪へざりしが如き、近くは英國の埃及に於て佛國と相轢るが如き、皆な半屬國保護國の徒らに其の本國を衰弱せしむるものにして[#「皆な半屬國保護國の徒らに其の本國を衰弱せしむるものにして」に二重丸傍点]、寧ろ全き領土となるか[#「寧ろ全き領土となるか」に二重丸傍点]、然らずんばそを放棄するの可なるを證明するものにあらざるはなし[#「然らずんばそを放棄するの可なるを證明するものにあらざるはなし」に二重丸
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