いお金を取り返して帰って行ってしまいました。
その時に豚吉とヒョロ子は町の宿屋に帰ってグーグー寝ておりましたが、そのうちに二人共眼がさめて、
「これからどうしよう」
と相談を初めました。
「せっかく見世物の鹿や猪を見つけたかと思うと、あべこべにこっちが見世物にされそうになって、危いところをやっと助かった」
と豚吉が云いますと、ヒョロ子もほっとため息をして、
「無茶先生が待っていらっしゃるでしょう」
と云いました。そうすると豚吉は何か一生懸命に考えておりましたが、やがて不意に飛び上って喜んで、
「そうだそうだ。うまいことを考えた。おれはちょっと行って来る」
と云ううちに宿屋を飛び出しました。そうしてやがて帰って来たのを見ると、市場から大きな馬と小さな豚を一匹買っております。
「サア、どうだ。馬と鹿なら似ているだろう。豚と猪《しし》も似ているだろう。だから、馬と鹿の背骨も、豚と猪《しし》の背骨も似ているに違いない。これでいいかどうか、無茶先生のところへ持って行って見ようではないか」
ヒョロ子もこれを見て大層感心をしまして、
「ほんとにそれはいい思い付きですわね。どうして今までそ
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