んないい事に気が付かなかったでしょう」
と云うので、それから二人は連れ立って、馬と豚とを連れて無茶先生のところへ出かけました。
無茶先生は昨日《きのう》の通り頭や髭を蓬々《ほうほう》として裸で居りましたが、豚吉夫婦が生きた馬と豚を持って来たのを見ると腹を抱えて笑いました。
「アハハハハハハハ。鹿と猪の代りに馬と豚をつれて来たのは面白いな。お前たちさえよければ馬と豚の背骨でも構わない。入れかえてやろう。その代り鹿や猪よりも太くて、しかも長く持たないぞ」
「ヘエ。どれ位持つでしょうか」
「そうだな。鹿の背骨が千年持つならば、馬の背骨は五百年持つ。それから猪のがやはり千年持てば、豚のもやはりその半分の五百年持つのだ」
「それなら大丈夫です。私達は五百年の千年のと生きる筈はありませんから、せいぜいもう百年持てばいいのです」
「馬鹿野郎。まだ自分が死にもせぬのに、五百年生きるか千年生きるかどうしてわかる」
「ヤ。こいつは一本参りましたね」
と豚吉は頭をかきました。
「それじゃ私たちは五百年も生きるでしょうか」
「生きるとも生きるとも。馬や豚の背骨の中におれが長生きの薬を詰めて入れておけば、
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