り、はては皆一時に入り乱れて、一つ一つに輝きひるがえる美しさ。その間を飛びちがい入り乱れる数知れぬ夜光虫の光り。それは世界中が金襴《きんらん》になって踊り出すかのようでした。
 ルルとミミは抱き合ったまま、夢のように見とれていました。その前に数限りない御馳走が並びました。
 月の光りはますます明るく御殿の中にさし込みました。そうして、女王様の嬉しそうなお顔やお姿を神々《こうごう》しく照し出しました。
 そのうちに月の光りが次第次第に西へ傾いてゆきました。ルルとミミの陸《おか》へ帰る時が来ました。
 ルルとミミは女王様から貸していただいた、大きな美しい海月《くらげ》に乗って、湖の御殿の奥庭から陸《おか》の方へおいとまをすることになりました。
 女王様はルルとミミを今一度抱きしめて頬ずりをされました。そうして、こんなお祈りをされました。
「この美しい兄妹《きょうだい》は、この後どんなことがありましても離れ離れになりませぬように」
 ルルもミミも女王様が懐かしくなりました。何だかいつまでもこの女王様に抱かれて、可愛がっていただきたいように思って、涙をホロホロと流しました。
 けれども女王様は
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