か囃子とかいうものが存在している事をかなり後まで知らずに過ごした。

          ◇

 こうして習っては舞い習っては舞いした稽古順は大略左の通りである。これ以て誠に名聞《みょうもん》がましいが、何かの参考になるかも知れないと思って記憶している通りを書き止めておく次第である。
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(一)鍾馗ワキ(二)同シテ(三)鞍馬天狗ツレ(四)経政(五)嵐山半能(六)俊成忠度(七)花月(八)敦盛(九)土蜘ツレ(十)巻絹ツレ(十一)小袖曾我(十二)夜討曾我――これ以後の順序明瞭に記憶せず、(十三)猩々(十四)小鍛冶(十五)岩船半能(十六)烏帽子折子方(十七)田村(十八)殺生石直面(十九)羽衣ワキ(二十)是界(二十一)蘆苅(二十二)箙《えびら》(二十三)湯谷《ゆや》ツレ(二十四)景清ツレ――但これは稽古だけで能は中止(二十五)船弁慶ツレ、及、海人子方同時(二十六)田村(二十七)土蜘――但し稽古だけにて能は舞わず(以上)
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 その他「清経」シテ、「三井寺《みいでら》」ツレ等が四五番あったと思うが、ハッキリ記憶しない。
 そのうちに十六七歳になったので、翁
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