僧の事に違いないことがわかった。成程、白髪小僧ならば、世界中で二人とない不思議な身の上話を持っているに違いない。そうしてそれを聞くのは世界中でこの人達が初めてで、しかもそれが美留女姫の身の上と一所になって、どこかまだ知らぬ国の王様と女王になるらしく思われたから、皆の者は最早《もう》先が待ち遠しくて堪《たま》らなくなって――
「それからどうしたのです。早く先を読んで下さい」
 と口々に催促《さいそく》をした。

     三 青い眼

 美留女姫も同じ事で、最前《さっき》水に落ちたのを、白髪小僧に救い上げられてから今までの出来事は、皆本当に自分の身の上に起っている事か、それともこの書物に書いてあるお話しかと疑った。そうして皆から催促される迄もなく、白髪小僧と自分の身の上のお話がどうなるか、早く読みたくて堪らなかったけれども、一先ずじっと気を落ち着けて皆の顔を見まわしながらニッコリと笑った。そうして――
「待って下さい。妾《わたし》もこれから先どうなるか知らないのです。今から先を読みますから静かにして聞いていて下さい」
 と云いながら、胸を躍らせて次の頁を開いた。
 見ると……どうであろう
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