》のようになって、一足飛びに飛び出しましたが、いつ迄も往来に出ずに同じ処ばかりぐるぐるまわっていますから、紅木大臣は自烈度《じれった》がって――
「エエ。何をしているのだッ」
と叫びましたが、見ると馬はいつの間にか、紅木大臣の屋敷の中にある、大きな丸い馬場の中に駈け込んで、死に物狂いに駆けまわっています。紅木大臣は歯噛みをして――
「エエッ。この畜生ッ。表門へ出るのだッ」
と罵《ののし》りながら、馬をキリキリ引きまわして、花園も芝生も一飛びに、表門に飛び出しましたが、その時はもう最前の騎兵は疾《とっ》くに王宮に帰り着いている頃でした。
紅木大臣は王宮の表門を這入ると、一直線に玄関まで乗り付けて、馬からヒラリと飛び降りましたが、帽子はいつの間にか吹き飛んで了《しま》っていました。そうして取り次の者も待たずに勝手知った奥の方へズンズン這入って行きますと、今日は平生《いつも》と違って王宮の中はどの廊下もどの廊下も鎧を着た兵士が立っていて、皆|鞘《さや》を払った鎗《やり》や刀を提《ひっさ》げて、奥の方を一心に見詰めながら、素破《すわ》といわば駈け出しそうにしています。けれども紅木大臣はそ
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