なか付かない。
 今度、東京でいろんな新智識を得たが、その中でも面白いのは、マッサージ師の上得意で、神経痛という病気である。これは文明病の一種であるが、ちょっと医師にも素人にも見わけが付かないところに、一層文明病としての価値があるのだそうな。というのは、奥様が神経痛にかかって別荘に御祈祷師を呼び寄せると、旦那も又神経痛で本宅に女マッサージを出入りさせるというわけである。最近の神経痛は痛くとも何ともなくて、かかり易くてなおり易く、おまけに見分けが付かないという。便利な病気もあればあるものである。
 但、これ等は、東京人の堕落時代に乗じて今更|流行《はや》り出した病気とは云えないかも知れぬが――。

     恐ろしい看護婦

 私立病院の看護婦に醜業婦同様のものが居る事は古めかしい話である。嘘か本当か知らぬが、看護婦に美人の多い病院は繁昌するという。又、病院の種類に依って、美人を必要としない病院もあるという。さもありそうな事である。
 尚、これも余談ではあるが、こんな話を聞いた。
 東京の女が如何に堕落しても、又はどんなに凄腕になっても、看護婦のそれ程深刻にはなり得ないであろう。言葉を換
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