へ行って失敗したと見えて、帰って来るとすぐ記者に電話をかけた。
「君。駄目だったよ、あそこは。誰か紹介者がなくちゃ……君は例外らしいぜ……」
「そうかなあ……じゃ、名探偵だな、僕は……」
「馬鹿な……いい椋鳥《むくどり》に見えたんだろう」
文明病としての神経痛
女医、美容術師、マッサージ師、派出婦、助産婦、保姆、看護婦なぞは、大抵、何々会というものに付属しているが、この何々会に頗《すこぶ》る怪しいのが多い。
九州地方の看護婦会の会長さんはよく云う。
「看護婦は奥さんの御病気の時に行くのを嫌がります。つい旦那様のお世話をさせられたりして、誤解を受けたりする事がありますので……どうも困ります」
東京はこれと正反対で、そんなところを撰んでつけ狙う。一方、お客の需要もそんなのが珍らしくない。独身男から、奥さんが病気だと、電話がかかって来るのもないと限らぬ。勿論、会長も看護婦もその方の収入の方がずっと大きい。
その他、子供の世話と名付けて保姆を、その他の仕事に家政婦や派出婦をといった風に、前の看護婦と同様の意味で営業しているのが、東京市中にかなりあるらしい。但、見わけはなか
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