増長させる。彼女達を高尚に、シッカリと、奇麗に、健康に育て上げようという指導者が次第に遠退いて行く。その結果が彼女達の服装に先ず現われる。
白粉《おしろい》を塗り過ぎる。しかし襟垢《えりあか》は残り勝である。
髪を大切にする。しかし毛の根は油でよごれている。
美しい着物を着る。しかし裾にしまりがない。
取り澄まして歩む。しかし眼づかいは下品である。
そのほか唇のしまり、好みの調和なぞ、彼女たちのダラシなさを挙げたら数限りもない。しかも現在の東京人は、こんな風に見える女をすぐに解放された女と認めて讃美するのである。そうして男同士の間では、
「彼女は職業婦人だよ」
と冷笑し合うのである。
洋装の流行と活動
職業婦人には時々洋装を見受ける。普通の婦人にも時々見かけるが、よく似合っているのは十人に一人もない。
洋装の生命とするところは、顔でもなく、尻でもなく、只首と足の恰好だそうで、その中でも足は最も大切な条件なのだそうであるが、日本人の足……殊に女の足は十人が十人駄目である。東京の女学校で汐干狩をやると、皆足を気にしてとやかく云うそうであるが、さもあろう。日本婦
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