ゴチャになって、二《ふ》タ眼と見られぬ醜態である。他人《ひと》のを見てもわかりそうなものだが、自分のは見えないから立派にしているつもりらしい。冬なぞは嘸《さぞ》寒いだろうと同情に堪えぬ。
梳き毛ブラ下げ式と頬に描いたホツレ毛
次に、梳き毛をブラ下げたのはあまり多くないようであるが、奇抜なだけに、見たと云う人はいくらもある。見ない人はタボ毛が抜け落ちたんだろうと云うが、決してそうでない。わざわざ瓢箪《ひょうたん》型や糸瓜《へちま》型にこしらえた梳き毛の固まりを、耳の前にブラブラと釣るして歩くので、ドンタクでもあまり見かけない新型である。記者も初め遠くから見た時は、大昔の美津良《みずら》式を復活させたものかと思ったが、近付いてよくよく見ると、髪毛とは全く別の感じを持った黒い固まりなので腹の皮が拗《よ》れた。しかも、本人、大澄ましだから豪気である。多分、外国の活動女優の舞台姿か何かを真似たものと思われるが、本人に訊《き》いて見る勇気を持たなかったのは遺憾であった。
尚《なお》、参考のために書き添えておくが、現在の東京で中年以下の婦人の断髪は時々見かける。しかし前髪を切って縮
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