して出放題にこんな頭を発明したものでない事は、その恰好や装飾品の取合わせをよく気をつけて見ているとわかる。
 彼女たちの頭のお手本は、大抵日本や外国の活動女優、又は雑誌、新聞の挿し絵や口絵を真似したものらしい。中には自分の顔に似合わせたものもある。又はそんな事をお構いなしのもある。

     和漢洋入り乱れた様式の流行あたま

 雑誌や新聞に宣伝されている、新しい髷の結い方を真面目に研究して応用しているのは、職業婦人には皆ないと見た方が至当であろう。勿論、多少影響はしているに違いないが、とてもそんな手ぬるい結い方では満足しないらしい。
 又、例外と見えるのがいくらでもある。
 眉の上まで庇を冠せて、そのうしろに中将姫のようなビラビラを戴いているのがある。
 一方に、低い束髪にしてから、元禄髷に似た縦長い髪毛の束を三寸ばかり上に突上げたのが居るかと思うと、洗い髪同様の髪を玄冶店《げんやだな》のお富《とみ》式にうしろに投げ卸して、その先を三つ組にして輪飾りの七五三のようにしているのがある。この式は将来職業婦人用の頭として最新流行を作るかも知れぬ。
 サザエのツボヤキをずっと大きく高くして
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