適当したスタイルである事は云う迄もない。
 尚、丸ビル式は大正十三年の秋の末まで勢《いきおい》があったが、例の不良少女団ジャンヌダルクの一件以来、勢力を打ち消された形になった。これに取って代るべく生れたのが銀座髷かどうか知らぬ。
 もしそうだったら、近い中《うち》に又一騒ぎ持ち上るかも知れぬ。

     髷の恰好とお手本

 職業婦人の頭には、こうしてチャンと名前の付いたのもあるが、尚このほかに名前のわからぬので凄いのが多い。猫型、木魚型、鳥型、帽子型、真甲鯨《まっこうくじら》型とでも名付けたい位である。
 その上から鏝《こて》をかけて大波小波を打たせる。耳のあたりは渦を捲いたように見せかける。それから髷の競争である。
 髷は前髪や鬢《びん》と平均を取るために極度に大きくしたのもあれば、正反対に首の根づるに押下げて小蜜柑大にしたのもある。又は様々の形に結んだり、横たえたり、ブラ下げたりして、横から見ると随分気味の悪い恰好をしているのがある。そこへ例の色羽根や花飾り、飾り櫛、ピン、その他様々の旗差し物を出来るだけ賑やかにあしらったところは、奇観というも愚かである。
 しかし彼女たちが決
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