て、その近くに割込むのもある。
 先ずハンケチを出して、かぐわしいエマナチオンを漂わせる。その学生が手でもたたくと、すぐに共鳴して、
「マア……」
 とか何とか、つつましやかに溜息をする。これ位の技巧なら新しい少女は大抵心得ている。
 そのうちに、
「あの……本当に失礼で御座いますが……プログラムをちょっと……あの……」
 と引っかけて見る。熱狂したふりをして学生の膝に手を突いたり、ピッタリと寄り添ったりする。
 相手の身体にズンズン電気が充実するのがわかる。
 借りたプログラムに手紙を書いたり、仮病を使ったり、映画の批評や何かを話し込んで別室に連れ出したり、自由自在とある。
 しかし、まだ驚いてはいけない。

     少年の二段誘惑法

 悲しい事に、今の女学生は男学生のあとをつける程の力を持たぬ。だから、活動なぞで誘惑するのは、ハネたあと数時間、もしくは一二時間の間で、その間にカフェーや何かに這入って必要な約束をせねばならぬ。故郷に遠い男学生で、旅の恥は掻き捨てなぞいう連中があったら、恐ろしく手軽で済む。カフェーの家族室やホテル、宿屋なぞで、「即決可決」が随分多いと聞く。
 又、
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