チを顔に当てたり、一しずくホロリと落したりするのだそうな。
相手の様子に依っては、慌てて降りる風をする。それを見て相手も立ち上れば、もうこっちのものだという。
さもない時は少年の降りる処で降りで[#「降りで」は「降りて」の誤記か]、叮嚀にお辞儀をして、その少年が帰って行くのをいつまでも立って見送る。
……先へ行き得るのはないという。
しかし、まだ感心してはいけない。
煙草を吸う女学生
東京の或る女学校では、健康診断や体格検査の時に女生徒に口を開かせて、虫歯の有る無しを調べさせる。実は煙草を飲んでいるかどうか見させるのだそうな。そうして発見次第、その名前をブラックリストにつけても、大抵間違いはないという事である。
但、煙草を吸うからブラックリストにつけるのではなくて、男と交際している何よりの証拠だからだそうである。夜間なぞは、煙草を利用して男の学生に近付く不良少女がチョイチョイ居るという。
「一寸《ちょっと》済みませんが燐寸《マッチ》を……」
と云うかどうか知らないが、九州の男学生にそんな事を云ったら気絶する……と云っておく。
活動館で様子のいい学生を見つけ
前へ
次へ
全263ページ中229ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
杉山 萠円 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング